白内障セルフチェック
白内障は、初期段階では気づきにくいことが多いため、早期発見のためにも自覚症状からセルフチェックを行いましょう。「はい」の回答項目にチェックを入れてください。
※このチェックシートは目安です。少しでも気になる場合は、なるべく早く専門医を受診してください。
- 5つ以上の方
- 気になる自覚症状が10個以上あります。早期に眼科を受診して、白内障の検査を受けてみましょう。
- 4つ以下の方
- 今すぐに対応が必要な白内障の心配はありません。早期発見、早期治療のため、定期的に眼科を受診しましょう。
はじめに
アトピー性皮膚炎はただ肌に影響を及ぼすだけでなく、目の健康にも意外な影響を与えることがあります。このコラムでは、アトピー性皮膚炎と白内障との関連性(リスク要因、診断方法)そして最新の治療法について詳しく解説します。さらに、白内障の予防策として、日常生活で気をつけるべき点や目の健康を守るための具体的な方法お伝えします。
アトピー性皮膚炎とは何か?
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う慢性の皮膚疾患です。アトピー性皮膚炎について説明します。
アトピー性皮膚炎の基本知識
アトピー性皮膚炎の要因や症状、治療方法を説明します。
- 発症の要因
・遺伝的要素
・環境要因、アレルゲン(ダニや花粉など)による刺激
・ストレスや食生活の乱れ
- 症状の特徴
・皮膚が赤くなり、小さなぶつぶつができることがあります。
・症状がひどい時は、皮膚が厚くなり、ひび割れや皮むけが起こりやすくなります。
- 治療方法
・ステロイド薬や保湿剤の使用で、炎症を抑えることが基本です。
・薬に頼るだけでなく、生活習慣の改善も重要です。
アトピー性皮膚炎は、全身に影響を与える可能性がありますので、早めの対処が必要です。特に、目への影響も見過ごせません。
参考文献)日本アレルギー学会・日本皮膚科学会 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021
アトピー性皮膚炎が目に与える影響
アトピー性皮膚炎が目に及ぼす影響は以下の通りです。
- 主な症状
・目のかゆみや充血が一般的です。
・長期的な影響により、まぶたの皮膚が厚くなることがあります。
- 合併症の可能性
・アトピー性角膜炎:
アレルゲンへの反応により、角膜が損傷することがあります。
・アトピー性白内障:
アトピー患者における白内障の発症は、一般的な白内障よりも進行が早いことが特徴です。
- 予防と対策
・目をこすらないように心がけることが重要です。
・定期的な眼科検診を受けることで、初期の段階で問題を発見しやすくなります。

白内障とその発症メカニズム
白内障がなぜ起こるのか、そしてアトピー性皮膚炎がどのようにして白内障のリスクを高めるのかを解説します。
白内障の一般的な原因
白内障は多くの場合自然な老化によるものですが、それ以外にも様々な要因が白内障の発症に寄与しています。
- 加齢:
最も一般的な原因で、年齢とともに水晶体のタンパク質が変性し、濁りが生じます。 - 紫外線曝露:
長期間にわたる紫外線への露出は、水晶体のタンパク質を損傷し、白内障を引き起こす可能性があります。 - 喫煙:
喫煙は水晶体の酸化ストレスを増加させ、白内障のリスクを高めるとされています。 - 糖尿病:
高血糖は水晶体内の代謝異常を引き起こし、白内障の発症を早めることがあります。 - 外傷や薬剤:
目への直接的な外傷や、ステロイドなどの特定の薬剤使用も、白内障の一因となることがあります。
症状が見られた場合は早期に眼科を受診し、適切な診断と対応を受けることが勧められます。

アトピー性皮膚炎による白内障の特徴
アトピー性白内障は、通常の加齢による白内障とは異なり、特定のリスク因子によって加速されることが研究で示されています。
- 若年発症:
アトピー患者では、通常の加齢白内障よりも若い年齢で白内障が発症することがあります。 - 進行の速さ:
発症後の進行が早いため、早期の発見と治療が特に重要です。 - アトピー性皮膚炎の炎症反応:
長期にわたる炎症反応が、目の水晶体に慢性的なストレスを与え、白内障を引き起こす原因となります。 - 目の摩擦:
アトピー性皮膚炎によるかゆみが強いため、目をこする行為が頻繁にあり、それが水晶体への物理的なダメージとなり、白内障の一因となることもあります。
アトピー性皮膚炎の適切な治療とともに、定期的な眼科診察が推奨されます。
アトピー性白内障の診断と治療
アトピー性白内障がどのように診断されるか、また、その治療法としてどのような新しい技術が使われているのかを解説します。
アトピー性白内障の診断まで
アトピー性白内障の診断は、通常の白内障診断に加えて、患者のアトピー歴を詳細に評価することが重要です。以下に、その診断までを説明します。
- 病歴の聴きとり:
患者のアトピー性皮膚炎の歴史や症状の進行状況を確認します。 - 初期の視力検査:
視力の低下具合を評価し、白内障の症状が見られるか調べます。 - スリットランプ検査:
眼科医がスリットランプという特殊な顕微鏡を使用して、目の前面の構造を詳細に観察し、水晶体の濁り具合を確認します。 - 眼底検査:
網膜の健康状態を確認し、アトピー性白内障に関連する他の目の問題がないかチェックします。 - その他の診断テスト:
必要に応じて、視力をより詳しく調べるための検査や、白内障の進行度を詳細に測定する検査を行うことがあります。
この流れでアトピー性白内障が疑われる場合は、適切な治療法が提案されます。
治療技術とその効果
アトピー性白内障治療の近年の技術概要と効果を紹介します。
- レーザーを用いた白内障手術:
精密なレーザーカットを利用して、より安全で正確な水晶体除去を実現します。この技術により、手術後の回復時間が短縮され、合併症のリスクも低減されます。 - カスタマイズされた眼内レンズ:
個々の患者の目の特性に合わせたカスタムメイドの眼内レンズを使用することで、視力の質が大幅に向上します。特に、多焦点レンズが有効で、多角的な視力問題に対応します。 - 最小侵襲手術:
小さな切開口から行う手術により、治療の侵襲を最小限に抑え、患者の痛みと回復期間を短縮します。これにより、手術への抵抗感が減少し、より早期に治療を受けることが可能です。
これらの新しい技術は、アトピー性皮膚炎の患者においても効果が期待されます。
参考文献)日本眼科学会 白内障の手術

生活習慣でできる白内障の予防
どのような日常的な目のケアを行うことで白内障の予防が可能か、を探ります。
食事と栄養による白内障予防
白内障の予防には、バランスの取れた栄養が非常に重要です。以下に、白内障予防に効果的とされる食品と栄養素を紹介します。
- ビタミンC:
抗酸化作用があり、目の細胞を酸化ストレスから守ることが期待されます。柑橘類、イチゴ、ピーマン、ブロッコリーなどが豊富です。 - ビタミンE:
目を守る効果が期待され、特にナッツや全粒穀物、緑黄色野菜に含まれています。 - ルテインとゼアキサンチン:
眼のレンズと網膜の健康をサポートする可能性のあるカロテノイドで、ほうれん草や小松菜、アボカドなどに含まれています。 - オメガ3脂肪酸:
炎症を抑える効果が期待され、青魚に豊富に含まれています。 - 亜鉛:
目の中の酵素の働きを助けることが期待されています。牡蠣やレバー、全粒穀物に含まれます。
参考文献)日本白内障学会 白内障を予防するには
日常生活での目の保護方法
日常生活で簡単に実践できる目の保護方法をご紹介します。
- 紫外線対策:
目に有害なUV光線を防ぐために、UVカット機能があるサングラスや帽子を着用しましょう。 - 適切な照明の使用:
目の疲れを防ぐために、読書や仕事をする際は十分な照明を確保し、直接眼に光が当たらないようにしましょう。 - 画面からの休憩:
コンピューターやスマートフォンを長時間使用する場合は、20分ごとに20秒間、20フィート(約6メートル)離れた場所を見る「20-20-20ルール」を実践しましょう。 - 目の乾燥対策:
室内の湿度を適切に保ち、必要に応じて目薬を使用して目を潤しましょう。 - 禁煙:
喫煙は眼疾患のリスクを高めるので、禁煙は目の健康にも良い影響を与えます。
参考文献)日本眼科医会 ギガっこデジたん!活用マニュアル
アトピー性皮膚炎患者のための特別な注意点
アトピー性皮膚炎の症状を効果的に管理する方法と、特に目のケアに焦点を当てた推奨事項を提供します。
アトピー性皮膚炎の症状管理
アトピー性皮膚炎の症状を管理するための基本的なアプローチを紹介します。
- 適切なスキンケア:
毎日の保湿は必須です。乾燥はかゆみを悪化させるため、保湿剤をこまめに使用しましょう。 - トリガーの特定と回避:
アレルゲンや刺激物質が症状を引き起こすことがあります。これらのトリガーを特定し、可能な限り避けることが重要です。定期的に掃除を行い、ダニやほこりを減らすことも効果的です。 - 食事の管理:
特定の食品が症状を悪化させることがあります。食物日記をつけ、問題となる食品を特定し、摂取を控えることをお勧めします。 - ストレス管理:
ストレスはアトピー性皮膚炎の症状を悪化させることが知られています。リラクゼーション技法や趣味など、ストレスを効果的に管理する方法を見つけてください。
アトピー患者におすすめの目のケア方法
アトピー患者が目の健康を保つために実践できるケア方法を紹介します。
- 適切な保湿:
目の周りの皮膚を乾燥から守るために、刺激の少ない保湿剤を定期的に使用しましょう。敏感な目元には特に、無香料で刺激の少ない製品を選ぶことが大切です。 - 控えめな洗顔:
目の周りの皮膚は非常にデリケートなので、強い洗浄剤の使用は避け、穏やかで肌に優しいものを使用しましょう。洗顔は優しく、こすりすぎないよう注意してください。 - アレルギー対応の製品使用:
アトピー性皮膚炎の人は、目に入ると刺激となる成分が含まれていないアレルギー対応の化粧品やスキンケア製品を選びましょう。 - 紫外線からの保護:
目の周りの皮膚は紫外線によるダメージを受けやすいため、外出時にはUVカット機能があるサングラスを着用することが推奨されます。 - 十分な休息とストレス管理:
睡眠不足やストレスはアトピー性皮膚炎の症状を悪化させることがあります。十分な休息をとり、ストレスを適切に管理しましょう。

実体験に基づく患者の声
実際に治療を受けた患者たちの生の声を通じて、治療がどのように彼らの生活の質を向上させたかを探ります。
治療を受けた患者のインタビュー
Aさんはアトピー性皮膚炎の影響で若年期から白内障を発症しました。若いながらも積極的に治療を受けたAさんの体験談を紹介します。
「私が初めてアトピー性皮膚炎の影響で目の問題を感じ始めたのは、まだ20代前半のことでした。目がかゆくて、ひどいときは夜も眠れないほどでした。眼科を訪れたときには、すでに初期の白内障が始まっていると診断され、驚きと共に治療の必要性を痛感しました。
治療としては、最初に保守的なアプローチで目の炎症を抑える薬で対処しました。しかし、症状の進行を遅らせるためには、結局、白内障の手術が必要だという結論に至りました。手術はレーザーを使ったもので、迅速で、手術後の回復も早かったです。
手術後の視界のクリアさには本当に感動しました。アトピー性皮膚炎による症状管理を続けながら、定期的に目もチェックするようにしています。」
Aさんの話は、早期診断と治療の重要性、日々の予防ケアの大切さを教えてくれます。
生活の質の向上例
Bさんの治療体験をご紹介します。白内障の治療を受けたことで、Bさんの日常生活の質が大きく改善されました。生活の質が向上したポイントは以下の通りです。
- 視力の明確な改善:
手術後の視力回復で、読書や運転が楽に。 - 社会活動の活性化:
改善された健康状態で友人との会合や趣味の時間を再び楽しむことができるように。
この事例は、適切な治療がいかに生活を豊かにするかを示しています。

まとめ
アトピー性皮膚炎と白内障は患者の生活に大きな影響を与える病気ですが、適切な治療によってその影響を大幅に軽減することが可能です。治療を通じて視力を回復し、皮膚の状態を改善することで、日常生活の質が向上し、社会活動や趣味などを楽しむことが再び可能になります。これらの事例から、早期の診断と治療の重要性が明らかになり、患者に新たな希望を与えています。