健康診断や眼科検診で「眼圧が高い」と指摘されると、不安になる方は多いです。眼圧が上昇すると、将来的に視神経への負担が増し、緑内障などの目の病気発症リスクが高まる可能性があります。しかし、眼圧が高いこと自体が即「緑内障」を意味するわけではありません。
本記事では、眼圧が高い状態が何を示すのか、関連する疾患や検査・治療法、生活習慣での対策について、エビデンスに基づいてわかりやすく解説します。必要に応じて眼科受診の一歩を踏み出し、将来の視力を守る参考にしてください。
眼圧とは何か?
眼圧は目の中にある「房水」という液体による内圧を指します。正常な眼圧は一般的に10~21 mmHg前後とされますが、個人差もあります。房水の産生量と排出バランスが崩れると眼圧が上昇しやすくなります。

「眼圧が高い」と指摘された場合の意味
眼圧が高い=緑内障確定ではありません。しかし、長期間の高眼圧状態は視神経にダメージを与え、緑内障発症リスクを高めます。一方で、正常範囲の眼圧でも緑内障が起こる「正常眼圧緑内障」も存在するため、眼圧のみで判断はできません。

関連する検査と診断方法
- 眼圧検査:非接触型(空気噴射)やアプラネーショントノメーターを用いて、正確な眼圧値を測定します。
- 視神経・視野検査:眼底検査やOCT(光干渉断層計)、視野検査で視神経障害や視野欠損を評価します。
- 総合的に判断することで、緑内障の有無やリスクを明確にします。
治療法と対策
- 点眼薬治療:房水流出を促す、あるいは房水産生を抑える点眼薬で眼圧コントロールを図ります(※1,5)。
- レーザー治療・手術:点眼薬で十分効果が得られない場合、レーザーや外科的手術で房水排出路を改善します。
- 生活習慣の改善:喫煙・過度な飲酒、過度の塩分・カフェイン摂取は控え、適度な運動や十分な睡眠を心掛けることで、全身的な血行改善により眼の健康維持に寄与します(※6)。

いつ受診すべきか?
健診で「眼圧が高い」と言われたり、かすみ目や視野異常を感じた場合は、早めに眼科を受診してください。早期発見・早期治療が緑内障による視力障害の進行を抑えるカギとなります(※1,2)。
Q&Aコーナー
- Q: カフェインは眼圧に影響しますか?
A: 一時的な眼圧上昇が報告されています(※7)。適量摂取を心がけましょう。 - Q: スマホやPC使用時間は眼圧に関係しますか?
A: 長時間のパソコン作業など直接的に眼圧を上昇させるとは限りませんが、疲労や血流悪化を介して間接的に悪影響を及ぼす可能性はあります。適度な休憩を挟み、目を休めることが望ましいです。

まとめ・結論
「眼圧が高い」と指摘されても、すぐに慌てる必要はありません。しかし、長期的な高眼圧状態は緑内障リスクを高め、放置すると視野欠損が進行する可能性があります。点眼治療や生活習慣改善、定期的な検査で眼圧コントロールがしていきます。不安や疑問があれば、早めに眼科医に相談し、適切な対策を講じて将来の視力を守りましょう。
参考文献
日本眼科学会「緑内障診療ガイドライン(第5版)」
コーヒー摂取による眼圧への影響
カフェインの人眼眼底末梢循環に及ぼす影響