【目次】

白内障セルフチェック

白内障は、初期段階では気づきにくいことが多いため、早期発見のためにも自覚症状からセルフチェックを行いましょう。「はい」の回答項目にチェックを入れてください。
※このチェックシートは目安です。少しでも気になる場合は、なるべく早く専門医を受診してください。

セルフチェック 診断結果
あなたのチェック数:0
5つ以上の方
気になる自覚症状が10個以上あります。早期に眼科を受診して、白内障の検査を受けてみましょう。
4つ以下の方
今すぐに対応が必要な白内障の心配はありません。早期発見、早期治療のため、定期的に眼科を受診しましょう。

はじめに

加齢によって自ずと訪れる目の変化、特に白内障は、多くの高齢者が直面する課題です。神戸市東灘区にある松原眼科は、すべての方々に「きれいが見える」日々を提供したいという強い願いを持っています。当院では、多焦点眼内レンズを用いた治療により、遠くも近くもはっきりと見えるようにサポートし、日々の生活をより快適にお過ごしいただけるよう努めています。この記事を通じて、加齢と共に増える目の病気、白内障の現状と、それに対する新しい治療選択肢「多焦点眼内レンズ」についてご紹介します。お母様のライフスタイルに合わせた、最適な治療選択を一緒に見つけましょう。

【75歳の母へ】白内障治療の新時代!多焦点眼内レンズで視界が変わる

白内障とは?加齢と共に増える目の病気の現状

年齢を重ねるにつれて、目の中の水晶体が自然と濁り始め、それが視力に影響を及ぼすことがあります。これが白内障です。特に、高齢者の間で、この病気の発生率は顕著に増加します。白内障は、加齢以外にも、紫外線への長期間の曝露、喫煙、特定の病気(例えば糖尿病)、または目への外傷など、さまざまな要因によって発生する可能性があります。
このセクションでは、白内障がなぜ起こるのか、そしてそれが私たちの日常生活にどのような影響を与えるのかについて掘り下げていきます。

白内障の症状と原因

白内障は、目の中の水晶体が濁ることで特徴づけられる病状です。この水晶体の濁りは、光が網膜に正しく焦点を結ぶのを妨げ、結果として視力が低下します。初期段階では、症状は軽微であることが多く、徐々に進行していきます。最も一般的な症状には、ぼやけた視界、色の褪せる感じ、夜間の視力低下、光のまぶしさやハロー現象(光源を見たときにその周囲に光の輪が見える視覚現象)の増加が含まれます。これらの症状は、日常生活に様々な影響を及ぼす可能性があります。

白内障の主な原因

  • 加齢: 最も一般的な原因であり、年齢と共に水晶体のタンパク質が変性し、濁りを生じます。
  • 紫外線への露出: 長期間の紫外線(UV)露出は、水晶体の濁りを引き起こす要因の一つです。
  • 喫煙: 喫煙は、白内障のリスクを高めるとされています。
  • 糖尿病: 糖尿病などの特定の全身疾患は、白内障の発症リスクを増加させます。
  • 眼の外傷や手術: 目に受けた外傷や以前の眼科手術も、白内障の原因となることがあります。
  • 特定の薬剤: ステロイド薬など、一部の薬剤の長期使用が白内障を引き起こすことがあります。

白内障の進行は個人差があり、すべての人が同じ速度で症状が悪化するわけではありません。早期発見と適切な治療が、視力を長く保ち、質の高い生活を送るための鍵となります。

白内障が進行すると…メガネやコンタクトでは対応できない

白内障が進行するにつれて、目の水晶体の濁りはさらに増し、光が網膜に正確に届かなくなります。初期段階では、メガネやコンタクトレンズの度数を調整することで視力の低下を補正できるかもしれませんが、白内障が進行すると、これらでは十分に対応できなくなります。この段階になると、患者様はぼやけた視界、読書や運転などの日常活動における困難、色彩の鮮やかさの喪失、夜間視力の低下といった、生活の質に直接影響する複数の問題に直面することになります。

  • なぜメガネやコンタクトでは対応できないのか

白内障の根本的な問題は、眼のレンズである水晶体の物理的な濁りにあります。この濁りは、メガネやコンタクトレンズで修正できる単純な屈折異常とは異なり、光の透過自体を妨げるため、光が適切に網膜に集中しなくなります。結果として、視力矯正ツールで視界をクリアにすることはできません。

  • 進行した白内障の治療

進行した白内障の最も効果的な治療法は、濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズ(IOL)に置き換える手術です。この手術は、患者様の視力を大きく改善し、日常生活の質を回復させることができます。多焦点眼内レンズのような先進的なオプションを選択することで、遠近両方の視力を同時に改善することも可能になります。

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 白内障治療の新しい選択肢「多焦点眼内レンズ」とは

時代と共に医療技術は進化し、白内障治療においても革命的な進歩が遂げられています。その最前線に立つのが、「多焦点眼内レンズ」の導入です。従来の単焦点レンズが一つの焦点距離にのみ対応していたのに対し、多焦点眼内レンズは、遠距離、中距離、そして近距離と、患者様が日常生活で遭遇するあらゆる距離での視界をクリアにすることを可能にします。

多焦点眼内レンズの導入により、白内障手術を受ける患者様は、メガネやコンタクトレンズへの依存度を大幅に減らすことが期待でき、かつてないほどの視覚的自由を享受することが可能になります。このセクションでは、多焦点眼内レンズがどのようにしてこれらの成果を達成しているのか、そのメカニズムとメリットについて掘り下げて解説していきます。

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従来の単焦点レンズとの違い

白内障治療で使用されるレンズには主に二つのタイプがあります。一つは従来型の単焦点眼内レンズで、もう一つが新しい技術の多焦点眼内レンズです。これら二つのレンズの最も大きな違いは、視界をどのように改善するかにあります。

単焦点眼内レンズは、一つの焦点距離に最適化されており、主に遠視力または近視力のいずれかを改善することに特化しています。これは、手術後にはクリアな遠距離視力を提供しますが、多くの場合、近距離での作業にはメガネが必要となります。そのため、日常生活において、読書やスマートフォンの使用など、近距離での視力が求められる場面では、追加の視力矯正が必要になる場合があります。

一方、多焦点眼内レンズは、遠距離、中距離、近距離の全てでクリアな視界を提供するように設計されています。これにより、手術後の患者様は、日常生活のさまざまな状況でメガネやコンタクトレンズなしで過ごすことが可能になります。多焦点レンズは、特殊なデザインにより光を複数の焦点に分散させ、患者様がさまざまな距離で物をはっきりと見ることができるようにします。

この違いは、患者様のライフスタイルや日常の活動に大きな影響を与えます。多焦点レンズを選択することで、患者様は読書やコンピュータ作業、料理やショッピングといった近距離の活動をより快適に行えるようになり、全体的な生活の質が向上します。しかしながら、多焦点レンズはすべての人に適しているわけではなく、光の違和感を感じる可能性もあります。そのため、患者様の視力の状態、ライフスタイル、そして手術に対する期待を総合的に考慮し、医師と相談の上で最適なレンズを選択することが重要です。

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多焦点レンズのメリット(見え方の変化など)

従来の単焦点レンズが一つの焦点距離—遠視または近視—に特化していたのに対し、多焦点レンズは患者様が日常生活で遭遇するあらゆる距離でクリアな視界を実現します。この技術の導入により、患者様は多くのメリットを享受することができます。

見え方の変化

  • 遠距離から近距離までのクリアな視界: 多焦点レンズは、遠距離、中距離、近距離の全範囲で鮮明な視力を提供します。これにより、患者様は日常生活のさまざまな場面でメガネやコンタクトレンズを使わずに済むようになり、視覚的な自由度が大幅に向上します。
  • 自然な視力の回復: 多焦点レンズは、目の自然な見え方に近い視力を提供します。日々の活動をより自然に、そして快適に行うことができます。

生活の質の向上

  • 活動的なライフスタイルのサポート: メガネやコンタクトレンズへの依存度が減少することで、スポーツやアウトドア活動など、活動的な趣味をより自由に楽しむことが可能になります。
  • 社会的な交流の向上: 視力の改善は、顔の表情をはっきりと認識できるようになることから、対人関係やコミュニケーションの質を向上させます。

多焦点レンズを選択することで、患者様はただ視力を回復するだけでなく、生活の質を根本的に向上させることができます。

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母のライフスタイルに合わせて選ぶ!多焦点レンズの種類

現代の白内障手術では、患者様のライフスタイルに合わせた多焦点眼内レンズの選択が可能です。このセクションでは、多焦点レンズの主要なタイプである回折型と屈折型の特徴と、それぞれのメリット・デメリットを解説し、さまざまなライフスタイルに合ったレンズ選びについて紹介します。

回折型

回折型多焦点レンズは、レンズ表面の微細な回折格子を用いて光を分割し、複数の焦点を作り出すことで、近距離から遠距離までクリアな視界を提供します。

  • メリット

全距離にわたってバランスの取れた視界を実現します。
特に読書や精密作業をする際に、中距離での視界が鮮明です。

  • デメリット

ハローやグレアといった光学的現象の発生リスクがあります。
特定の光条件下での適応に時間がかかることがあります。

屈折型

屈折型多焦点レンズは、レンズの異なる屈折力を利用して、遠中近距離での視力を向上させます。

  • メリット

日中の活動において、全距離でクリアな視界を提供します。
自然な視覚体験に近いです。

  • デメリット

回折型に比べて、中間距離の視界がやや劣る場合があります。
ライフスタイルによっては、最適な視界を得られないことがあります。

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ライフスタイルに合ったレンズ選び

  • アクティブな方

アクティブなライフスタイルを送る方には、屈折型多焦点レンズが推奨されます。これは、屋外での活動やスポーツ、遠距離を見る機会が多い場合に、遠距離でのクリアな視界と中距離での視力もバランス良く提供できるためです。

  • 読書やパソコン作業が多い方

読書やパソコン作業など、中距離での視力を頻繁に使用する方には、回折型多焦点レンズが適しています。これは、中距離での作業に最適化された視界を提供するため、長時間の作業でも目の疲れを軽減できます。

  • 夜間運転が多い方

夜間運転が多い方には、光のハローやグレア現象が少ない屈折型多焦点レンズが推奨される場合があります。夜間や低照度条件下での視力改善に優れており、より安全な運転をサポートします。

患者様の日常生活、趣味、職業などのライフスタイルに合わせて、最適な多焦点レンズを選択することは、視力と生活の質の両方を大きく向上させることができます。患者様一人ひとりのニーズに合ったレンズ選びを行うことで、より快適で満足度の高い日常生活を送ることが可能です。特に、アクティブな方には屈折型多焦点レンズが、読書やパソコン作業が多い方には回折型多焦点レンズが、夜間運転が多い方にはハローやグレア現象が少ない屈折型多焦点レンズが適していると考えられます。

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多焦点レンズを選ぶ際の確認ポイント

このセクションでは、多焦点レンズを選択する際に検討すべき主要な確認ポイントを紹介します。

生活環境に合わせた設計が重要

多焦点眼内レンズを選ぶ際、患者様の生活環境や日常の活動に合わせたレンズの設計を選択することが極めて重要です。患者様のライフスタイルに合わせたレンズの選択により、手術後の満足度と生活の質を大きく向上させることが可能になります。

医師の経験と説明を見極める

多焦点眼内レンズを選択する際には、医師の経験と提供する情報の質が、患者様が行う選択の成功において決定的な役割を果たします。高度な技術を要する多焦点レンズの手術では、医師の専門知識、手術実績、そして患者様への説明の丁寧さが、患者様の不安を和らげ、信頼関係を築く上で非常に重要になります。

医師の経験を評価するポイント

  • 手術実績: 医師が多焦点眼内レンズの手術をどれだけ経験しているか、そしてその結果はどうだったかを把握することが重要です。実績のある医師は、様々なケースに対応するための知識と技術を有していることが多いです。
  • 患者のフィードバック: 以前にその医師に手術を受けた患者様の体験談や評価を参考にすることも有効です。特に、手術後の視力の改善度や満足度に関するフィードバックは、医師選びの参考になります。
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手術のリスクとデメリットを理解する

白内障手術、特に多焦点眼内レンズを用いた治療は、多くの患者様にとって視力の顕著な改善をもたらすことが期待されますが、どんな医療処置にもリスクやデメリットが存在します。多焦点レンズは、遠距離から近距離までの広範囲にわたるクリアな視界を提供する一方で、光の違和感や適応に時間がかかる場合があるなど、特有の注意点があります。
このセクションでは、多焦点眼内レンズ手術における潜在的なリスクやデメリット、そしてそれらに対する対処法について詳しく解説します。手術に関連するリスクを理解することで、患者様はより情報に基づいた決断を下すことができ、万一の合併症にも適切に対応する準備ができます。

光の違和感(ハローやグレア)の可能性

多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は、多くの患者様にとって生活の質を大きく向上させる治療法ですが、手術後に光の違和感を経験する可能性があります。この違和感は、ハローやグレアとして知られ、特に夜間や暗い環境で明るい光源を見たときに顕著になることがあります。ハローは光源の周囲に見える光の輪のことで、グレアは光源が通常よりもはるかに眩しく感じられる現象です。

光の違和感の原因


多焦点レンズは、複数の焦点を作り出して遠距離から近距離までの視力をサポートするために、光を特定のパターンで分散させます。この光の分散の仕組みが、ハローやグレアの原因となることがあります。特に、レンズが光を適切に分散させる過程で、不必要な光の反射や屈折が生じることが、これらの視覚的違和感を引き起こします。

  • 対処法:光の違和感は、手術後の初期段階で最も顕著に感じられることが多いですが、多くの場合、時間が経過するにつれて脳がこれらの視覚情報に慣れ、違和感は減少します。しかし、違和感が持続する場合は、以下の対処法が考えられます:
  • 適応期間の確保: 手術後には、新しい視覚情報に慣れるための時間が必要です。患者様には、適応に時間がかかることを理解し、忍耐強く対応することが推奨されます。
  • 追加治療の検討: 違和感が改善されない場合、追加的な治療が必要になることがあります。医師は、状況に応じてレンズの交換や調整など、さまざまな選択肢を提案することがあります。
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両眼で異なるレンズを使用した場合の影響

白内障手術において、患者様のライフスタイルや視力のニーズに応じて、両眼で異なる種類のレンズ(例えば、一方の目には多焦点レンズ、もう一方の目には単焦点レンズ)を使用することがあります。このアプローチは「モノビジョン」や「混合焦点」とも呼ばれ、遠距離と近距離の視力の両方を改善しようとする試みです。しかし、両眼で異なるレンズを使用することには、特有の影響や患者様が適応する必要がある点がいくつかあります。

  • 適応期間: 両眼で異なるレンズを使用すると、初期には混乱や不快感を感じることがあります。脳が各目からの異なる視覚情報を統合するためには、適応期間が必要です。
  • 立体視の変化: 両眼で異なる焦点を持つことで、立体視や深度感知に影響が出る可能性があります。これは、特に近距離での作業や精密な活動に影響を与えることがあります。
  • 視覚的快適さ: 長期にわたり、両眼で異なるレンズを使用した結果、患者様の視覚的快適さが向上することもありますが、一部の患者様では適応できない場合もあります。

対処法

  • 詳細な事前説明: 医師から手術前に、両眼で異なるレンズを使用することのメリットとデメリット、期待できる視力の改善、必要な適応期間について詳細な説明を受けることが重要です。
  • 段階的な試用: 一部のケースでは、事前にコンタクトレンズを使用してモノビジョンの状態を試すことで、手術後の視覚的経験をある程度予測することが可能です。
  • フォローアップと調整: 手術後の定期的なフォローアップを通じて、視力の改善状況や適応の進行を医師と共有し、必要に応じて追加の調整を行います。
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手術費用と高額療養費制度の活用

多焦点眼内レンズを使用した白内障手術は、従来の単焦点レンズを用いた手術に比べて費用が高くなる傾向にあります。この高額な治療費は、患者様やその家族にとって大きな負担となる可能性がありますが、適切に計画を立てれば、高額療養費制度などの公的支援を利用して、この負担を軽減することが可能です。

  • 手術費用の概要
    多焦点眼内レンズの手術費用は、レンズの種類や手術を行う医療機関によって異なりますが、一般的には数十万円から数百万円の範囲で変動します。この費用には、手術に使用するレンズの費用、手術室での処置費、医師の技術料などが含まれます。
  • 選定療養について
    「多焦点眼内レンズを用いた白内障手術」が、2020年4月1日より厚生労働省の定める選定療養の対象となり、手術費用の一部が保険適用となりました。
    多焦点眼内レンズ代は選定療養(自己負担)、手術技術料は健康保険の適用となります。これまでに比べ、患者様の自己負担額が軽減されました。

費用対効果を考慮

手術費用は決して安くはありませんが、多焦点眼内レンズを使用することで得られる視力の改善や生活の質の向上を考えると、多くの患者様にとって費用対効果が高い投資となります。特に、日常生活でメガネやコンタクトレンズからの自由を得られることの価値は、金銭的なものだけでは測れません。

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手術後の見え方の変化と対応

多焦点眼内レンズを用いた白内障手術を受けた後、患者様は視力と日常生活における見え方に顕著な変化を経験します。この治療法は、遠距離から近距離までの視界を大幅に改善する可能性を秘めていますが、手術後には患者様自身が新しい視覚情報に適応し、変化した見え方に対応する必要があります。このセクションでは、多焦点眼内レンズ手術後における視力の改善と、その変化に伴う患者様の体験、さらにはその変化に対する適切な対応方法について掘り下げていきます。

目の調子を見守る重要性

多焦点眼内レンズを用いた白内障手術後、新しい視界への適応は一夜にして完成するわけではありません。手術後の回復と視力の改善過程において、目の調子を注意深く見守ることは非常に重要です。この過程では、患者様自身が目の健康状態に気を配り、異常を早期に発見し対処することが、最終的な治療成果を最大限に引き出す鍵となります。

  • 早期発見と対処: 手術後に生じる可能性のある合併症や異常(例えば、光の違和感、視力の急激な変化、痛みや赤みなど)を早期に発見し、適切に対処することで、より良好な回復を促進し、視力の長期的な維持に貢献します。
  • 適応過程の理解: 目の調子を定期的にチェックすることで、患者様は自身の視覚がどのように変化しているかを把握し、新しい視界への適応過程をより良く理解することができます。
  • 医師とのコミュニケーション: 目の調子に関する観察結果を医師と共有することで、必要に応じた追加の治療や調整を受けることが可能になり、治療成果の最適化に繋がります。

実践的なアプローチ

  • 定期的な自己チェック: 手術後、患者様は自身の視力変化や目の不快感に注意を払い、定期的に自己チェックを行うことが推奨されます。
  • 定期検診の予約: 手術後のフォローアップ検診は、目の調子を専門的に評価し、回復過程をモニタリングするために不可欠です。計画された検診を欠かさず受けることが重要です。

使いこなすコツと注意点

多焦点眼内レンズを用いた白内障手術後の見え方には、適応するためのコツと、注意すべき点があります。これらのレンズは、遠距離、中距離、そして近距離での視力を改善する設計ですが、その全ての利点を最大限に活用するには、患者様の意識的な努力と時間が必要です。

使いこなすコツ

  • 適応期間を理解する: 多焦点レンズへの適応には、通常、数週間から数ヶ月かかる場合があります。この適応期間中は、視覚情報の処理方法を脳が学習しているため、初期には見え方に違和感を覚えることがあります。
  • 視力の変化を記録する: 視力の変化や特定の条件下での見え方について記録を取ることで、どの距離でどのような見え方をするかを理解し、医師とのフォローアップ時に共有することができます。
  • 目を休める: 特に適応初期は、目を過度に酷使しないようにしましょう。定期的に目を休める時間を設け、遠くを見るなど視点を変えることで、目の疲れを和らげます。

注意点

  • 光の違和感: 多焦点レンズは、特に夜間の運転時など、光の違和感(ハロー、グレア)を引き起こす可能性があります。これらの症状は時間と共に減少することが多いですが、持続する場合は医師に相談してください。
  • 細かい作業での調整: 近距離での作業、特に細かい文字を読む場合など、最適な距離や照明を見つけるために、少し時間がかかることがあります。
  • 定期検診の重要性: 手術後の回復過程を適切にモニタリングし、必要に応じて追加の対策を講じるために、定期検診は非常に重要です。
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サポート体制を活用する

多焦点眼内レンズを用いた白内障手術後の適応過程は、患者様にとって新しい視覚体験の発見であると同時に、不安や疑問を感じることもあります。このような変化の期間において、医療機関によるサポート体制の充実が非常に重要となります。適切なサポートと情報提供は、患者様が手術後の生活に自信を持って適応し、手術の効果を最大限に感じられるように支援することになります。

サポート体制の活用方法

  • 手術後のフォローアップ: 手術後に計画されたフォローアップ診察に参加し、視力の回復状況や任意の調整が必要かどうかを医師と相談します。これにより、手術後の回復過程が適切に進んでいるかを確認し、必要に応じて迅速に対処できます。
  • 質問や懸念の共有: 手術後に経験する視覚の変化や、光の違和感など、具体的な疑問や懸念がある場合は、積極的に医師や医療スタッフに相談しましょう。専門家からのアドバイスや情報提供は、適応過程において大きな助けとなります。

神戸市東灘区にある松原眼科では、手術後の患者様が直面する可能性のあるさまざまな課題に対応するために、充実したサポート体制を整えています。患者様が手術後の見え方の変化に自信を持って適応できるよう、医師やスタッフが一丸となってサポートを提供します。患者様が持つ疑問や不安に対し、専門的かつ個別のアドバイスを提供することで、手術の成果を日常生活で存分に享受できるように努めています。サポート体制を積極的に活用することで、患者様は手術後の新しい視界によりスムーズに適応し、充実した生活を送ることができます。

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あなたの母に合った選択は?

多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は、高齢の患者様にとって、視力と生活の質を大きく向上させる可能性を秘めています。しかし、手術を受けるかどうか、どのタイプのレンズを選択するかは、単に医学的な判断だけでなく、患者様のライフスタイル、価値観、そして具体的な視力のニーズを総合的に考慮した上での決断が求められます。このセクションでは、最適な選択をするための考慮点、患者様とそのご家族が共に意思決定を行う過程でのポイントに焦点を当てています。

ライフスタイルに合わせた最適解

白内障手術における多焦点眼内レンズの選択は、患者様の日々のライフスタイルに深く根ざしたものでなければなりません。最適なレンズを選ぶ際には、彼女の日常生活、趣味、活動レベル、そして視力に対する具体的な要望を総合的に考慮することが不可欠です。お母様が日常的に行う活動や、特に価値を置く経験に基づいて、最も適したレンズを選定することで、手術後の生活の質の向上を目指すことができます。

ライフスタイルへの影響

  • 日常活動: お母様が日々の生活の中でよく行う活動(読書、ガーデニング、散歩、料理など)は、選択するレンズの種類に影響します。
  • 趣味と活動: 趣味が運転やスポーツ観戦のような、遠距離の視力を重要とする活動である場合、遠視力に優れたレンズが適しています。
  • 視覚の優先順位: お母様が視力に対して最も重要と考える点は何か、日中の活動に対する視力の重要性と夜間の活動のバランスを含めて考慮する必要があります。

意思決定のプロセス

  • 情報収集: 手術に関する正確な情報を集め、多焦点眼内レンズの種類とそれぞれのメリット、デメリットを理解することが重要です。
  • 医師との相談: お母様のライフスタイルに基づいて、医師と密接に相談し、様々なオプションについて話し合います。
  • 家族との協議: 家族と共にお母様のニーズや希望について話し合い、意思決定においてサポートを提供します。

費用を考える

多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は、特に高齢になったお母様のような患者様にとって、視力の大幅な改善と生活の質の向上をもたらす可能性がありますが、多焦点レンズの使用には従来の単焦点レンズよりも高額な費用がかかることが一般的です。

費用の考慮ポイント

  • 手術の費用: 多焦点眼内レンズの手術費用には、レンズ自体のコスト、手術に関わる医師や施設の技術料が含まれます。これらの費用は地域や医療機関によって異なるため、事前に詳細を確認することが重要です。
  • 長期的なメリット: 多焦点レンズは、遠距離から近距離までの視力を改善し、日常生活でのメガネやコンタクトレンズの必要性を減らします。これにより、長期的には視力矯正のための追加費用が削減される可能性があります。
  • 生活の質の向上: 手術による視力の改善は、読書や運転、趣味活動など、日々のさまざまな活動への参加を容易にし、結果的に生活の質を向上させます。この生活の質の向上は、手術の費用を正当化する重要な要素となり得ます。
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意思決定のためのアプローチ

  • 詳細な情報収集: 手術の全体的な費用、可能な保険適用や高額療養費制度の利用について、医療機関に問い合わせて詳細を確認します。
  • 家族との相談: 手術の費用と期待されるメリットについて家族と話し合い、共同で財務計画を立てることが助けとなります。
  • 医師との相談: 手術による視力の改善がお母様の生活にどのような影響を与えるかについて、医師と詳細に話し合い、適切な選択をします。

長期的な目の健康を意識

白内障手術を検討する際、特に多焦点眼内レンズの選択においては、即時の視力回復だけでなく、長期的な目の健康を深く意識することが重要です。手術による視力の改善は、患者様の生活の質を大幅に向上させる可能性がありますが、この決定を行う際には、将来的な目の健康と視力維持の可能性も考慮に入れるべきです。

長期的な目の健康の考慮点

  • 持続的な視力の改善: 多焦点眼内レンズは、遠距離から近距離までの広範囲にわたる視力の改善を提供しますが、患者様が将来にわたってこれらのメリットを享受するためには、レンズの性能と目の健康状態を維持する必要があります。
  • 合併症のリスクの管理: 手術後には、合併症のリスク管理と定期的な眼科診察が不可欠です。このようなフォローアップは、潜在的な問題を早期に発見し、長期的な目の健康を守る上で重要な役割を果たします。
  • ライフスタイルの変化への適応: お母様のライフスタイルや活動レベルが変化する可能性も考慮に入れ、長期的な視点での適応策を検討することが重要です。例えば、将来的に新たな趣味や活動に挑戦する場合、それに伴う視力の要求に応えられるよう、選択したレンズが柔軟に対応できるかどうかを考えます。
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白内障に手を打たずに放置すると…

白内障は進行性の疾患であり、放置することで多くのネガティブな結果を招く可能性があります。初期段階では軽微な視力の低下やぼやけが生じることが一般的ですが、時間とともにこれらの症状は進行し、最終的には日常生活に深刻な影響を及ぼすことになります。白内障を適切に治療せずに放置することのリスクには、以下のようなものがあります。

  • 視力の顕著な低下
    白内障が進行するにつれて、水晶体の濁りは増し、光が網膜に届きにくくなります。これにより、視力が顕著に低下し、日常の作業が困難になります。読書や運転、さらには顔を認識することさえも難しくなることがあります。
  • 生活の質の低下
    視力の低下は、自立した生活を営む能力にも影響を及ぼします。高齢者の場合、これが転倒や事故のリスク増加につながり、全体的な生活の質の低下を招くことになります。また、視力の悪化は社会的な活動の減少や孤立感の増大にも繋がり得ます。
  • 治療の選択肢が限られる
    白内障が進行すると、手術がより複雑になり、合併症のリスクが高まることがあります。早期の段階で治療を行うことで、より簡単で効果的な手術オプションを選択できる可能性があります。
  • 完全な視力喪失のリスク
    最も深刻なケースでは、白内障を完全に放置すると視力を完全に失うこともあります。これは、白内障が非常に進行した状態で、治療の選択肢が限られ、回復の見込みも低くなるため、避けるべき事態です。
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まとめ

白内障は、加齢と共に発生する一般的な目の疾患であり、放置すると視力の大幅な低下や生活の質の低下を招くリスクがあります。しかし、現代の医療技術により、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術が視力回復の有効な選択肢として提供されています。この手術は、患者様が遠距離から近距離までクリアな視界を取り戻すことを可能にし、日々の生活での自立を支援し、生活の質を大幅に向上させることができます。

手術を受けるかどうかの決定にあたっては、患者様のライフスタイル、視力に対する要望、そして手術に関連する費用と長期的な目の健康を総合的に考慮することが重要です。医師の経験、提供される情報の質、そして医療機関のサポート体制を十分に評価し、患者様とその家族が情報に基づいた意思決定を行うことが推奨されます。

神戸市東灘区にある松原眼科では、患者様一人ひとりの状況に合わせた治療選択をサポートし、手術後のフォローアップと目の健康管理に関する包括的なアドバイスを提供しています。白内障手術は、患者様が活動的で充実した生活を送るための大きな一歩です。適切な治療選択と適応のプロセスを通じて、患者様は手術の効果を最大限に享受し、長期的な視力の維持と生活の質の向上を実現することができます。

参考)公益財団法人 日本眼科学会:
多焦点眼内レンズに関する基本知識および適正使用について
白内障の手術

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