皆様こんにちは。兵庫県神戸市東灘区の眼科、松原眼科クリニックです。当院ではICL手術を始め、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術、網膜硝子体手術など、眼科日帰り手術に力を入れています。

 

今日はドルーゼンについてお話しましょう

検診で、要検査などが帰ってくることがありますね。

眼底にドルーゼンがありますと書いてあることもあります。

ドルーゼンってなんでしょうか?

目の疾患であるドルーゼンは、加齢黄斑変性症(AMD)という病気の兆候であることがよく知られています。ドルーゼンは、眼底の黄斑領域に形成される微細な黄色い沈着物で、加齢による変化と関連しています。この疾患は、中心視力の低下や失明につながる可能性があるため、早期発見と適切な治療が重要です。

【疾患概念】

ドルーゼンは、網膜色素上皮細胞(RPE)の下に形成される脂質やタンパク質などの沈着物です。ドルーゼンの大きさや形状はさまざまで、多くの場合は眼底検査で確認することができます。ドルーゼンが多数存在し、大きさや形状が異常な場合、加齢黄斑変性症のリスクが高まります。

【原因】

ドルーゼンの正確な原因は不明ですが、加齢、遺伝要素、喫煙、糖尿病、高血圧、肥満などの生活習慣が影響していると考えられています。また、網膜色素上皮細胞が正常に機能せず、代謝物の排泄が遅れることが、ドルーゼン形成につながるとも言われています。

【症状】

ドルーゼン自体には症状がないことが多く、進行することで中心視力の低下や歪んだ視野、暗い場所での視力低下などの症状が現れます。これらの症状は、加齢黄斑変性症の進行によるものであり、ドルーゼンが増加することでリスクが高まります。

【診断】

ドルーゼンの診断は、眼底検査や眼底写真によって行われます。さらに、蛍光眼底造影検査やOCT(光干渉断層計)検査などの詳細検査を行い、ドルーゼンの数や形状、網膜の状態を評価します。

【治療】

ドルーゼン自体の治療法は現在確立されていませんが、加齢黄斑変性症への進行を遅らせることが目標となります。以下の方法が推奨されています。

  1. 栄養補助食品: AREDS(Age-Related Eye Disease Study)やAREDS2に基づく栄養補助食品が、進行を遅らせる効果があることが報告されています。ビタミンC、ビタミンE、銅、亜鉛、ルテイン、ゼアキサンチンなどが含まれています。
  2. 抗VEGF治療: 加齢黄斑変性症が濡れたタイプ(新生血管性)の場合、抗VEGF(血管内皮成長因子)薬を用いた治療が行われます。この治療は、新生血管の成長を抑制し、視力低下の進行を遅らせることが目的です。
  3. レーザー治療: 新生血管性加齢黄斑変性症の一部の患者に対して、レーザー光を照射して病変部を焼灼する方法が適用されます。しかし、適応は限定的であり、網膜の中心部に近い病変には適用できません。
  4. 光力学療法(PDT): 新生血管性加齢黄斑変性症の一部の患者に対して、光感受性薬剤を静脈内に投与し、病変部を特定の波長の光で照射する治療法です。新生血管を閉塞させ、病態の進行を遅らせる効果があります。

【予防】

ドルーゼンの予防には、以下の生活習慣の改善が推奨されています。

  1. 喫煙の禁止: 喫煙は加齢黄斑変性症のリスクを高めるため、禁煙が望ましいです。
  2. 健康的な食生活: 抗酸化物質やルテイン、ゼアキサンチンが豊富な食物(緑黄色野菜、果物、魚など)を摂取し、バラエティ豊かな食事を心がけることが重要です。
  1. 定期的な運動: 適度な運動は、全身の健康を維持し、糖尿病や高血圧などのリスクを減らすことができます。
  2. 紫外線対策: 紫外線は目の老化に影響を与えるため、サングラスや帽子を着用して目を保護することが大切です。
  3. 定期的な眼科検診: 加齢に伴ってドルーゼンが増加する可能性があるため、定期的な眼科検診を受けることが重要です。

【参考文献】

  1. Age-Related Eye Disease Study Research Group. (2001). A randomized, placebo-controlled, clinical trial of high-dose supplementation with vitamins C and E, beta carotene, and zinc for age-related macular degeneration and vision loss: AREDS report no. 8. Archives of ophthalmology, 119(10), 1417-1436.
  2. Chew, E. Y., Clemons, T., SanGiovanni, J. P., Danis, R., Domalpally, A., McBee, W., … & Ferris, F. (2013). The Age-Related Eye Disease Study 2 (AREDS2): study design and baseline characteristics (AREDS2 report number 1). Ophthalmology, 120(11), 2237-2246.
  3. Rosenfeld, P. J., Brown, D. M., Heier, J. S., Boyer, D. S., Kaiser, P. K., Chung, C. Y., & Kim, R. Y. (2006). Ranibizumab for neovascular age-related macular degeneration. New England Journal of Medicine, 355(14), 1419-1431.
  4. Treatment of Age-Related Macular Degeneration with Photodynamic Therapy (TAP) Study Group. (1999). Photodynamic therapy of subfoveal choroidal neovascularization in age-related macular degeneration with verteporfin: one-year results of 2 randomized clinical trials—TAP report 1. Archives of ophthalmology, 117(10), 1329-1345.